優秀作文

中学生の時からゆいまーる学園に通っている生徒の作文が、
鹿島学園高校の「青年の主張」作文コンテストで選ばれました。


「すべての自分を愛し活かす」

 十年後の私は今の私よりずっと幸せです。断言できます。今の私が不幸だというわけではありません。私には温かい家族や優しい友達、居場所をくれた先生もいます。仲間たちと一緒に過ごして一緒に笑い、毎日幸せを感じています。それでも、十年後の私はもっと多くの幸せで満ち溢れている自信があるのです。
 私には夢があります。誰かのために一生懸命働き、誰かを笑顔にすることです。その笑顔を直接見ることです。興味のあることがたくさんあるので就きたい職業は決まっていませんが、サービス業に就きたいと考えています。そう思うようになったきっかけは、自分の性格を知ったことでした。
 私は人と話をして、一緒に笑うことか大好きです。このことに気がついたのは、つい最近のことです。私は中学二年生の時に対人関係に悩み、不登校になりました。母の提案で学習等支援施設へ通うようになりました。初めてそこへ行ったときには、先生や生徒があまりにも温かく迎え入れてくれたので驚きました。私はそこで多くの笑顔に囲まれて過ごし、いつの間にか私もよく笑うようになっていました。学習等支援施設に新入生がくると、温かく迎え入れてくれた先生や友達への恩返しのつもりで、また、辛い思いを抱えている新入生に安心してほしくて笑顔で声をかけました。笑顔で返ってくる子もいれば、下を向いて頷く子もいて反応は様々です。反応が薄い子だと嫌がられていないか心配になりますが、後日、先生や新入生のお母さんから、「家で声をかけてくれたことを喜んでいた」などと言っていただくことがほとんどです。その知らせを聞くたびに、この場所の皆が安心できるような温かい雰囲気を守っていきたいという思いが強くなっていきました。
 最近あった先生との面談でこんなことを言われました。「いつも温かい雰囲気をつくってくれてありがとう。気を遣わせてごめんね」、と。私は気を遣って行動していたわけではなかったので、「私が好きでやっているんですよ」と返しました。その時、口に出して気がついたのです。恩返しの気持ちも、新入生に安心してほしい気持ちも、温かい雰囲気を守りたい気持ちも全て本心であるけれど、それ以上に私は人と一緒に過ごして一緒に笑うことが大好きであると。数年前まで人を避けていた私にとっては信じられないことでした。人を嫌っていた私が人好きな性格をしていたのですから。
 私の人好きな性格は、ずっと自覚がなかっただけで生まれつきのものだったと思っています。そうでなければ、休日、早く友達や先生に会いたくてウズウズしている今の私に説明がつかないからです。私は自分の性格が好きです。人に執着してしまうので、相手の些細な言動で傷つくことも多いですが、他の人から見たら少しの良い事であっても私は大きな幸せを感じられます。色んなことに興味があるので、多くの人の考え方に触れ、色んな経験かできます。何よりも、中学二年生のころ、この性格で傷ついていなければ、今の元気な自分とも大切な仲間とも出会えませんでした。
 十年後の私は今の私よりずっと幸せです。白分の性格を自覚したばかりの今でもこんなに幸せなのだから、この性格を活かせる職業と出合い、たくさん努力をし、その夢へ着実に近づいている二十五歳の私が幸せでないはずがないのです。私は大学で心理学を学びたいです。将来関わる人を笑顔にするための勉強がしたいです。文字に起こすことは簡単ですが、実際に進学・就職するとなると多くの努力を強いられると思います。社会に出れば、対人関係の悩みも尽きないと思います。ですがこの先、どんなに辛いことがあっても、この人好きな性格は変わりっこないことを未来の私には覚えていてほしいです。そして、この性格で誰かを笑顔にして、その笑顔を見て幸せそうに笑っていてほしいです。

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